自主映画まみれ!

自主映画(特に個人映画)という特殊で奇妙でへんてこりんでとてつもなく面白い世界の紹介や批評や悪口や日々のくだらないどうでもいいことを脈絡無くつづったブログ。ただいまブログだと怖いけど会ってみたら割といい人じゃん♪キャンペーン実施中(落とし所不明)

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死体のある情景

Category: 日常・雑記  
カミさんの知り合いであり友人でもある近所の飲み屋の女将さんがいる。
その女将さんの店の常連だった初老のオッサンは一人暮らしで家族はいなかった。
その境遇を心配した女将は毎朝モーニングコール代わりの挨拶の電話を入れることを日課としていた。
毎日は歯車のように同じことの繰り返しであることが明日に不安を感じずに澄む最上の手段である。
しかし「時」は絶対にそうであり続けてはくれない。

女将のモーニングコールに初めて出ない日が来た。
 
壊したくない日常の大量コピーに戻したい為に女将は「トイレ中かもしれない」「着信音が小さいのかもしれない」「洗濯中かなにかで屋外に出ているかもしれない」と電話に出なくてもいい理由をいくつも思い浮かべた。数が多ければ多いほど日常が強固であることの保障になるかのように。
10分ほどしてもう一度かけてみた。
また10分してかけた。
何度も何度も繰り返されるコールに比例して泣きそうになる感情の目盛りが増えていく。
女将はオッサンのアパートに向かった。
ドアの外から声をかけても呼び鈴を押しても扉を叩いても反応は無い。電気メータは勢いよく回っている。
すぐに管理人の所に足を向けたが大手のアパート管理会社から派遣されてるだけの人間では個別の鍵を自分の裁量で開けるわけには行かないと言われた。
本社の担当者に電話をかけようとしたが窓口は休日のため出ない。
派遣の管理人は本人でなければ家族の承諾があれば開けられるとは言ってくれたがいずれにしろ決定権のある本社が休みでは話にならない。
女将にとって心と体の重い二日間が過ぎた。
その間数え切れないくらい携帯をかけてみたが返事が帰ってくることは無かった。
オッサンの故郷である福島から弟が月曜の朝イチでやってきた。

改めてお行儀の良い手順で分かりきった異常の扉の前に数少ない関係者全員が揃ったのは日が高くなってからだった。

つけっぱなしのコタツとテレビの賑やかな画面と音声。窓から指す明るい日差し。そういった日常の中にオッサンがもうオッサンでなくオッサンとソックリのなにか別のモノに置き換わっていた。

土日を挟んだ約2~3日続いた好天気と付けっぱなしのコタツで温められ続けたオッサンの身体は腐敗が始っていて部屋の中の異臭は視覚で捉えられなかった「異常」を雄弁に物語っていた。

警察の簡易な行政解剖により死因は心不全と断じられた。
自覚的には何も苦しまなくて、ひょっとしたら気付かないうちに眠った延長線上の死だったかもしれないとのことだった。
しかし献身的な広義な意味での愛情を完全に拒まれた二日間は女将さんの精神を深く傷つけた。
他人やよそ事ではなく自分の掌から「生命」がするするとこぼれ落ちるかのように逃げていくのを直に体験してしまったからだ。

いくら大事に生命を抱えていても、一度それが逃げ始めたらどんな人間でもどんな方法でもそれを留めておくことが絶対出来ない。それが死の強さだ。
「生」とはまったく異なる構造と論理で構成されているため、生の世界の住人にそれを操作する手段も方法も力もまったく無い。

それから1ヶ月が過ぎた。
女将が日常に戻るまでの時間はそんなにかからなかった。
「死」は、それとはまったく異なる構造と論理で構成されている「生」を完全に壊すことも出来ないのだ。
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どんぱちの小原です♪

Author:どんぱちの小原です♪
映像草野球トイウ冠ヲツケテ~どんぱちプロダクショント名乗ッテマース。ソシテぇ自分デ映画作ッタリィ、自分デ上映シタリィ、出演シタリィ、他ノ上映会二行ッタリ感想書イタリ悪口言ッタリ アリトアラユル方向カラ自主映画ヲ見テイマ~ス。
自主映画デサエアレバ傑作モ駄作モ大好ゥキデ~ス。

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